【オルテ相続コラム⑤】 ~遺言の重要性~
人間誰しも、ああすればよかった、こうすればよかった、と後悔することは多々あります。それは相続においても例外ではありません。今回はある事例をご紹介します。
【家族構成】
被相続人:父 ※妻は既に他界
相続人:兄(相談者)、弟 ※兄弟仲は良好
【相続財産】
預金:500万円
不動産:戸田市にある一戸建て(自宅)
【相談内容】
父が死去したことに伴い、兄弟で遺産を分割することになりました。父は私(相談者)と私の妻と同居しているため、自宅は私、預金はすべて弟という形で遺産分割を弟に提案したところ、これでは金額面で平等ではないので、自宅を売却した場合の価格の半分に相当する金額を支払ってほしいと言われてしまいました。
不動産業者に査定してもらったところ、時価3,000万円となるため、その半分だと1,500万円を支払うことになりますが、こんな大金はありません。私は事前に何か対策することはできたのでしょうか。
【事例からの考察】
相続人が特定の人に、特定の財産を残したいのであれば、遺言が有効です。今回の事例では相続人2人のうち1人が被相続人と同居していたため、遺言の内容に不動産は兄、預金は弟に相続させると記載しておけば、この内容で遺産を相続することになります。
※遺言を作成した場合でも、弟から遺留分を支払う必要が生じるかもしれません。
(遺留分:一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のこと)
遺言の効力は非常に強く、これに反する遺産分割を行うとすれば、当事者間=相続人全員の合意が必要になりますので、遺言の通り相続したい者と、そうでない者は、全員の合意には至らないため、結果的に遺言が優先されることになります。
繰り返しになりますが、特定の人にある財産を残したいのであれば、遺言は最も有効な手段になります。しかし、注意しておきたいことは、遺言は家族関係を良好にするもの・トラブルを防止するものではありません。むしろ家族関係を悪化させてしまう危険性も秘めています。というのは、上記の通り遺言の効力は非常に強いため、特定の人に偏った内容の遺言になると、他の方が納得しないことが容易に想像できます。先の事例は遺言が無く、遺産分割となりましたが、この遺産分割がきっかけとなり、仲の良かった兄弟の関係性もギクシャクしてしまったようです。仮に遺言があったにしても兄弟仲はギクシャクしてしまったのではないでしょうか!?
また、遺言以外の方法として、被相続人の父が生前であれば家族会議など当事者間の話し合いで解決出来たかもしれません。
私も多くのオーナー様に訪問した際に、下記のような話を聞くことがあります。
・相続人の方は自分が死んだ後のことは残された人達が話し合えばよい
・家族は仲が良いから遺産で揉めることはないだろう
・死ぬ前から死んだ後のことを考えるなんて縁起悪い
しかし、あなたが生きているからこそできる話があり、あなたが明確な意思を表示しておくことが、円満な家族関係を保つ第一歩となるでしょう。
今回ご紹介した事例を教訓に、できることは今からやっておくことが重要です。とは言え、遺言を自分一人で作成するのは難しいかもしれません。
オルテ地所開発㈱で遺言の作成のサポートをはじめとした相続に関する各種コンサルティング業務を行っています。あなた(被相続人)とあなたの家族(相続人)の意思が反映できるようお手伝い致します。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。