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【オルテ相続コラム④】 ~区分所有マンションの相続税評価の見直し~

相続

森 健

筆者 森 健

不動産キャリア6年

不動産の購入や売却を検討する際、専門的なこと、難しいことが多々あります。そんな時に頼りになれるようサポート致します。

相続対策の一環として、分譲マンションの一室を購入して賃貸事業を行っている方もいるかと思います。
相続は相続が発生した時の法律や規制に従うことになるため、行った相続対策が定期的にどのような効果になるかを検証を行い、対応する必要があり、対策を行った時は効果があったものの、現時点では効果が薄れてしまうことがあります。
あなたと一緒に相続対策を考えてくれた方は、こうした検証を行っていますか? また法改正等などの関連情報を適宜発信してくれる方ですか??

上記に直結する改正が行われます。国税庁は6月30日に、区分所有マンションの相続税評価の見直しを時価の6割程度で調整する方針を明らかにしました。

近年、被相続人が死去の直前に区分所有マンションを購入し、相続税評価を下げてから相続人が相続税の申告を終え、その後に購入価格以上で売却することが相続税回避を目的とした手法として問題(※)となっていたことから、これを解消するための措置と思われます。なお、2階建て以下の低層マンションや二世帯住宅は対象外となります。

相続時、マンションをはじめとする不動産は「相続税評価額」に基づいて相続税を算出します。この額は実際の取引価格=時価よりも低く設定されていることが多いです。
例として、現金を5,000万円持っていた場合、この金額がそのまま相続税の対象となってきます。しかし、時価5,000万円の区分所有マンションを購入すると、このマンションの相続税評価額は5割から6割の水準となるため、現金よりも不動産として保有した方が相続税の負担を減らすことができます。

そこで今回の改正では「課税の公平性を図ること」を狙いとして、下記基準を導入することになりました。
◇現行の相続税評価額×対象の区分所有マンション1室の評価乖離率で時価を計算。乖離率は下記4つの指数に基づき算出。
 ①築年数
 ②マンションの総階数
 ③所在階数
 ④敷地面積を建物の専有面積で割った敷地持ち分狭小度
◇調整後の時価に最低評価水準の0.6を乗じて、評価額が60%を下回っていた場合、そのマンションの相続税評価額を60%の水準まで引き上げ。
◇評価水準が60%以上であれば補正はしない。

今回の改正で区分所有マンションの相続税評価が上がる=相続税の負担増の可能性は高いですが、それでも現金より区分所有マンションを保有していた方が相続税評価が低いことは変わりありません。その効果が少し低くなっただけです。
大切なことは、その区分所有マンションがどのくらいの相続税評価になるのか、そのマンションをどのようにしていきたいのか(自分が住むか、賃貸にするか、売却するかなど)を事前に把握・理解し、きちんと対策を考えておくことです。現金がダメ、マンションがダメではなく、なたにとってどのような形が望ましいかをしっかりと把握しておくことで、どうするべきかが見えてくるはずです。

この新しい区分所有マンションの評価は令和6年1月1日以後の相続又は贈与により取得した財産が適用されます。なので、あからさまな節税狙いの贈与などの行為は税務署から否認される可能性が高いです。

繰り返しますが、相続は相続が発生した時の法律や規制に従うことになります。相続対策は一度行って終わりというわけではなく、定期的な見直し・再検証が不可欠です
オルテ地所開発㈱では、短期的ではなく長期的な考えに基づいた適切な相続対策を各士業と協力してお客様にとって意味のある対策をご提案しています。相続が始まる今の段階から被相続人の思いを踏まえて望ましい方法を一緒に考えていきませんか。

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