油断大敵!? 不動産売買の実例
私が不動産業に従事して一番苦労した案件がようやく完了しました。
ある土地の売買仲介であったこの案件。売主は個人、買主は初めて取引する不動産業者でした。
個人的に買主がプロの方であると安心します。それは、何か不具合が生じた際は話し合いで解決することが多く、大きなトラブルに発展することが少ないからです。
今回も売買契約は無事完了し、売主が引渡時までに行わなければならないことを行い、決済当日を向かえるはずでしたが、決済前日にいきなり2つの要望が出てきました。
1.売主が行った確定測量は有効なものなのか?
2.見えないところに越境があるのではないか?
上記1について、売買契約で引渡しの条件として売主の負担で確定測量を行う取り決めがあったので、当社でお付き合いのある土地家屋調査士をご紹介し、確定測量を行いました。しかし、買主はこの確定測量が無効と異議を唱えてきました。当社は、資格のある土地家屋調査士に依頼し(勿論信頼できる人です)、適切に対象地の測量を行い、隣接の所有者から境界確認書(お互いの土地の境界が間違いないという旨が記載された書面)を取得するなど通常と同様の手続きを行っており、何らおかしなことはしていません。実際にこの確定測量を元に登記関係の手続きができたため、有効なものでした。なぜ買主が無効と主張してきたのか理由が分かりません。
(最後までその理由はわかりませんでした)
上記2について、事前に把握している越境は、すぐに対応できるもの(例.樹木の枝葉や動産)については対応し、難しい場合(例.屋根やブロック塀の越境)はその所有者が将来建て替える際には自身の所有地内に収めて造るというのが一般的な流れです。
もし把握していないところに関して越境が判明した場合、引渡しから一定期間は売主が負うことが多いです(契約不適合責任)。しかし、今回は隣地のブロック塀の基礎(地中)が越境しているかもしれないので、”隣地全て掘り起こして確認するべき”という主張が来ました。
これは今まで経験したことが無い要求です。なぜなら、越境しているかどうかわからないことに対して時間と費用をかけて確認し、かつ越境が確認されれば売主が改善しなければならないからです。通常は発見されたタイミングで対応を協議するのですが、それを事前に行えというのは売主にとって相当不利な内容です。
(当社も一方的な要求であったためお断りしたかったのですが、この契約が価格面で売主にとって良い条件であったため、売主了承のうえ、対応することになりました)
色々と対応した結果、当初予定していた引渡日から3ヶ月を要して上記要求に対応し、12月下旬にようやく取引が完了しました。
今回学んだことは、初めて取引する相手には依頼者を守るため細心の注意を払うこと、そして想定外の要求が来る可能性があり、こうしたリスクがあることを事前に売主へ伝えておくことだと思います。
今回を教訓にして、相手が誰であっても想定外のことが発生するということを戒めにしたいと思います。