オルテの物件調査①
不動産は現場を見ることが基本ですが、現場を見てもわからないことは多々あります。
埼玉県某市において土地の売却の依頼を受けました。机上で調べる限り、駅からはやや距離があるものの、一般的な戸建てであれば十分な広さがあるため、大きな懸念のないものと考えておりました。後日調査に現地を訪れたとき、驚愕しました。
がけです。擁壁です。3階建てを超える高さのがけ・擁壁がありました。当社の所在する戸田市では滅多に見られない場所です。
その時点では現地を見て建物を建てられるか否かが不明だったため、役所で徹底的にヒアリングを行いました。
その結果、3つのことがわかりました。
①土砂災害警戒区域に所在
「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」という法律があり、土砂災害が発生した際に危険と思われる地域を指定し、その住民に対しての情報の伝達や警戒避難体制の整備を目的とした指定がかかります。
土砂災害警戒区域には建物の建築に対して制限はないのですが、住宅購入を検討している方からするとかなりのマイナス要因になると思われます。なお、この区域よりさらに危険度が高いと土砂災害特別警戒区域があり、このレベルになると建築物の構造に対する規制があります。
②埼玉県建築基準法施行条例の規制
この条例の第6条にがけに関する記載があり、建築の際の制限があります。がけの下に建物を建築する場合、要約すると下記いずれかの制限がかかります。
(1)がけと建築予定の敷地が接する部分(基点)からがけの高さの2倍の距離を保った場所に建築しなければならない ※下記図を参照
(2)敷地を造成する場合、高さ2mをこえる擁壁を設ける
(3)主要構造部が鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造で、がけの崩壊に対して安全であると認められる
簡単に言うと、一般的な住宅(木造の2階建てなど)を建てることはかなり難しい(多額の費用がかかる)ことになります。
③敷地の範囲が不明
敷地の手前(道路側)の境界は判明したのですが、がけ(擁壁)の上の部分がどこまでが敷地の範囲かが不明で、がけを上ることができないため、目視することも難しい状態です。
とは言え、境界が不明な状態では売却することもできないため、当社でお付き合いがあり非常に頼りになる土地家屋調査士にお願いして測量を実施しました。
がけの上の所有者様にご協力いただき、境界標を探しましたが確認できなかったため、双方の所有者様と現地で境界を取り決めることになりました。
↑がけの上、一般的な家が建っている
調査をしてわかった上記の3つの内容は売却に際してのネックにはなると予想ができましたが、個人的にはもう一つ懸念していることがありました。長くなってしまったので、次回に続きを書きたいと思います。