アスベストが賃貸経営に与える影響
みなさん、ご存じでしたか?
建物の解体や室内のリフォーム工事を行う際、その業務の発注者又は施工業者は事前にアスベストが使用されているかの調査及び結果を都道府県等へ報告することが義務となりました。
改正大気汚染防止法という法律が公布され、一部の規定を除き令和3年4月1日から施行されています。2023年10月からは、必要な知識を有する者によるアスベストの事前調査の実施が義務付けとなっています。
アスベストの事前調査は原則すべての建築物が対象となりますが、事前調査や報告義務については例外となる工事もあります。
<事前調査が不要な工事>
・アスベスト除去を行う材料が木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等、アスベストが含まれていないことが明らかなものであって、容易に取り外し可能であるなど、周囲の材料を損傷させない作業
・釘による固定/釘を抜くなど、当該物質が飛散する可能性がほとんどない作業
<事前調査の報告が不要な工事> ※下記例はイメージであり、工事の規模や内容によって要否が異なる可能性があります
・床面積80 ㎡未満の解体工事
(例1)賃貸アパート・専有面積25㎡・1Kの解体工事 → 不要
(例2)賃貸アパート・専有面積85㎡・3LDKの解体工事 → 必要
・請負金額税込100万円未満の改修工事
(例1)賃貸アパート・専有面積25㎡・1Kのフルリフォーム → 不要
(例2)賃貸アパート・専有面積60㎡・2LDKのフルリフォーム → 必要
・請負金額税込100万円未満の工作物の解体・改修工事
(例1)賃貸アパートに付随する駐車場の整備(小規模) → 不要
(例2)賃貸アパートの解体 → 必要
アスベストが含まれる建築資材の例としてよく聞くのが断熱材や石膏ボードなのですが、建物の外壁や建具に使用されている塗料にもアスベストが含まれている可能性があることをご存じですか?
以前解体を行った賃貸マンションがあったのですが、そこでは断熱材や石膏ボードにアスベストは検出されなかったのですが、外壁に使用していた塗料に含まれていたため、撤去が必要となりました。解体工期の3ヶ月延長と費用1,500万円が追加となりました。たかが塗料と言っても侮ってはいけません。
↑アスベスト事前調査。ある箇所の塗料をサンプル採取しアスベストの含有を検査します。
当社オルテ地所開発㈱では賃貸物件の管理を行っているため、空室が発生すると基本的にリフォームを行います。これまでは、壁紙や設備の交換などに要する費用だけでしたが、これからはアスベストの事前調査費が加算されることになり、最悪のケースではアスベストの除去費用までも要することになってしまいます。
これは賃貸物件を所有しているオーナー様には頭の痛い話になります。費用面の負担にも関わらず、この事前調査を行ったことにより賃料を上げることは難しいでしょう。結果的にこれまでよりも収支バランスが悪化し、賃貸経営に多大な影響を及ぼすことが予想されます。
では、こうした物件を所有している場合はどうすればいいのでしょうか。色々な考えがあるかと思いますが、例えば下記が挙げられます。
◇年々、アスベストの除去・処分の費用は上がっていることが予想されるため、現時点で対応を進める。
→問題を先送りにするのでは無く、やれることは今やる考え方です。相続対策をご検討のオーナー様は、アスベストの除去・処分をすることで現金が減ることになるため、節税の効果があります。
◇現時点では費用を支払うことができないため、アスベストの事前調査を行い、どのくらいの規模・費用感になるかを把握し、次の代に引き継ぐ。
→物件を受け継いだ方が後々困らないように、問題を洗い出し、それを適切に伝えておくことで、不測の事態に陥ることを防ぐことができます。
オルテ地所開発㈱では、アスベストが使用されている物件をお持ちのオーナー様に対して賃貸経営のサポートを行っております。アスベストの事前調査などの部分的な工事をはじめ、アスベストがあることによる賃貸経営への影響や、アスベストのある物件を所有することへの不安など、オーナー様の持つ悩みを解消するお手伝いができますので、お悩みの方は是非当社までご連絡ください。